■古環境学‐地球環境変動を探る‐
  人間活動による土地利用や大気組成変化は、地球環境変動に顕著な影響を与えるようになっており、新しい地質年代として人類の時代を意味するAnthropoceneが提案されています。変わりゆく地球環境をモニターするため精力的な観測が行われていますが、地球の気候や環境は観測記録よりも長い時間スケールで変化することが知られています。人間活動の影響がない自然の地球環境変動の実態を理解するためには、過去の気候や環境の情報を地質記録から読み解くことが有効な方法です。
  本研究室では、主に海洋や湖沼の堆積物から過去の地球環境変化を復元する「古環境研究」を推進しています。

■湖沼や湿原における過去の気候変動、環境変動の復元:鹿島
湖沼や泥炭地の堆積物からは、古環境の変動に関する多くの情報を得ることができます。堆積速度が速く、高解像度の環境復元か可能なことから、特に、1000 年以内の短いタイムスケールでの変動を解明することに適しています。津波、地球規模の温暖化、天然林の消失、砂漠の拡大など、人間生活に関わる重要な問題について、環境と人間活動との関わりの変遷を考察し、そして今後の将来予測のための重要な基礎データを導くことができます。

■過去の海洋環境の復元研究:岡崎
海底堆積物の分析により過去の海洋環境を復元する「古海洋研究」を行っています。
(1)北半球大規模氷床形成と氷期・間氷期サイクルの発達
新生代後期、地球は温暖で安定した気候から寒冷で大陸氷床が発達し、激しい振幅の周期的な気候(氷期・間氷期サイクル)へと移行してきました。本研究室では、国際深海科学掘削計画(IODP)航海で得られた北太平洋域の堆積物試料を用い、北半球大規模氷床形成と氷期・間氷期サイクルの実態解明を目指し研究を行っています。
(2)氷期の低い大気中二酸化炭素の行方と海洋深層循環
最終氷期(約2万年前)の大気CO2濃度は190 ppmと産業革命前(280 ppm)と比べて80 ppmほど低かったことが明らかにされています。大気CO2濃度の低下分に相当する炭素が、氷期にどこに貯えられていたか(炭素レザバー)という問題は古気候研究の大きな謎です。大気と比べ60倍以上の炭素貯蔵量を持つ巨大なレザバーである海洋深層水は、この謎を解く鍵となります。本研究室では、堆積物記録から氷期の海洋循環像を復元し、古気候モデル研究者と協力して、海洋循環が気候変動に果たした役割を明らかにしようとしています。